STEP6|介護サービスの利用開始
ケアプランを実行に移すステップへ
STEP5では、ケアマネージャーと一緒にケアプランを作成し、必要なサービスの組み立てを行いました。
ここからはいよいよ実際に介護サービスを利用開始します。
「サービスを使い始めるって、何をすればいいの?」「親が嫌がっていて進まない…」と不安になる方も多いですが、大丈夫です。
このSTEP6は下記の流れで解説していきます。
1. 介護サービスの利用開始までの流れ
ケアプランが完成したら、次は実際に介護サービスの利用を開始します。
ステップ別の流れ
ステップ | 内容 |
---|---|
サービスの契約 | 事業所の担当者が訪問し、契約・説明を行う |
初回利用の調整 | 日時・内容を相談し、初回の訪問や通所を決定 |
サービス開始 | 介護サービスが実際に始まる |
フォローアップ | ケアマネが状況を確認し、必要に応じて見直し |
初回は緊張するかもしれませんが、職員もすぐに慣れてもらえるように工夫するので安心してください。仮にしばらく利用してみて、合わなければいつでも変更可能です。ただし、地方はサービスの選択肢も多くないのが現状です。すぐに変更する人は敬遠されがちだということも理解しておいてください。
2. よく使われる介護サービスの種類
ケアマネが提案してくれる介護サービスの中でも、認知症の方によく使われるのが以下の4つです。
訪問介護(ホームヘルプ)
- 【目的】自宅での生活支援(掃除、調理、排泄・入浴介助)
- 【ポイント】顔なじみの関係を築けると、認知症の方も安心
通所介護(デイサービス)
- 【目的】日中の見守り、機能訓練、レクリエーション
- 【ポイント】外出や他者交流で刺激になり、認知症進行予防にも◎
ショートステイ(短期入所)
- 【目的】家族の休息、一時的な介護の代替
- 【ポイント】急な用事や体調不良時にも対応できる“安心の控え選手”
認知症対応型サービス(グループホームなど)
- 【目的】認知症に特化したケア環境を提供
- 【ポイント】少人数で目が届きやすく、家庭的な雰囲気が魅力
3. サービスの選び方|目的別チェックリスト
家族の目的から選ぶ
ニーズ | おすすめサービス |
---|---|
自宅で介護を続けたい | 訪問介護、訪問看護 |
家族の休息が必要 | デイサービス、ショートステイ |
日中の見守りが必要 | デイサービス |
認知症のケアに特化した環境が必要 | 認知症対応型サービス |
本人の状態から選ぶ
状態 | チェックポイント |
---|---|
昼夜逆転、徘徊 | 通所で生活リズムを整える |
入浴拒否や排泄不安 | 専門スタッフによる対応で安心 |
人と接するのが苦手 | 少人数の通所や訪問型が向いている可能性あり |
4. 本人が介護サービスを嫌がるときは?
「デイサービスなんて行きたくない」「知らない人が家に来るのは嫌」
これは、ほとんどの認知症の方が最初に感じる“普通の反応”です。
対処法
- 無理に説得せず、「お試し」から始める
- ケアマネに相談し、うまく説明してもらう
- 医師や看護師から声かけしてもらうと納得しやすい
(うちの施設では『役所の人から言われてるから』とか、『〇〇歳になったらみんな通うところだよ』と言ったら渋々納得されてました!) - 本人が抵抗している間は“家族のため”という伝え方も有効
ポイント:「最低限の希望を伝えて、あとはケアマネに任せる」のも選択肢。
サービスのプロが、本人に合うタイミングと方法で進めてくれます。
5. お金と時間のリアルな話
介護サービスにかかる費用は?
介護保険サービスは1〜3割負担で利用できます。(サービスを受ける方の介護保険負担割合証で確認できます)
- デイサービス1日:約700〜1,200円
- 訪問介護30分:約300〜500円
- ショートステイ1泊:約1,000〜2,500円
※加算や食費、送迎費用(介護保険適用サービスですが、節約したい方は家族が送迎すると良いです)など別途必要な場合もあるため、事前に確認を。
家族の時間的負担は?
- 送迎の有無で変わる
- 曜日・時間帯は調整できる
(※施設には各曜日の定員数が決まっており、希望する曜日に空きがない場合は選べないこともあります。事前に相談しておくことをお勧めします) - フルタイム勤務でも利用しやすいサービスあり
家族のライフスタイルに合うか?は、選ぶ上で重要な視点です。
6. 利用開始後に意識すべきこと
サービスは“使ってみないとわからない”
「合わなかったらどうしよう」と不安になる方も多いですが、ケアプランはいつでも見直せます。
気になる点があれば
- ケアマネにすぐ相談
- 1〜2週間は様子を見ながら判断
ケアマネとの連携がカギ
初回の利用後や、何か気になることがあったときなど、こまめにケアマネに伝えることが、より良いケアにつながります。
まとめ|“使う”ことで見えることがある
介護サービスの利用開始は、「家族ががんばる介護」から「支え合う介護」への第一歩。
大切なのは、完璧にこなそうとすることではなく、
- 小さく試す
- 困ったら相談する
- うまくいかなければ見直す
という柔軟な姿勢です。
あなたとケアマネ、サービス事業者がチームとなり、認知症の親御さんの暮らしを支えていきましょう。
認知症介護ファーストステップシリーズ
コメント