はじめに
親が高齢になり、「通帳の場所が分からない」「同じ請求書を何度も払ってしまう」など、金銭管理の不安が見えてくると、家族としては心配が募るものです。
そんなときに検討されるのが「成年後見制度」。
この記事では、制度の仕組み・手続き・費用・メリット・デメリットをわかりやすく解説し、検討のタイミングや代替手段についても紹介します。
成年後見制度とは?
成年後見制度とは、判断能力が低下した高齢者や障がい者の権利と財産を守る制度です。
認知症の親が自分で契約や金銭管理ができなくなったときに、家族や専門家が「後見人」となり、代わって手続きや管理を行います。
成年後見制度が必要になるケース
- 銀行口座から勝手にお金を引き出すと「財産管理権の侵害」になるリスクがある
- 不動産の売却、介護施設との契約など、本人の意思確認が求められる場面がある
- 詐欺被害や不要な買い物など、外部トラブルから守る必要がある
これらの場面で「正式な代理人」として認められるのが、後見人です。
いつから検討すべき?【タイミングの目安】
判断能力が完全に失われてしまうと、制度の準備ができなくなってしまいます。
検討は“困る前”が理想。以下のような変化が見られたら、早めに動き始めましょう。
成年後見制度の検討目安
成年後見制度の種類
手続きの流れと必要書類
申立ての流れ(法定後見制度)
- 家庭裁判所へ申し立て
- 医師の診断書提出
- 調査官との面談や家庭訪問
- 裁判所の審理・後見人の選任
- 後見開始の登記
準備する主な書類
- 申立書一式(裁判所指定の様式)
- 本人の診断書(成年後見用)
- 親族関係図
- 財産目録・収支予定表
- 本人確認書類
費用について
メリットとデメリット
✅ メリット
- 法的に家族が代理で手続き・契約できる
- 不動産売却や施設契約がスムーズに
- 詐欺・悪徳商法などから親を守れる
- トラブル時に「裁判所が関与」してくれる安心感
⚠️ デメリット
- 一度始めると、本人が亡くなるまで継続(辞められない)
- 家族でも「お小遣い」「冠婚葬祭」「急な医療費支払い」に自由に使えない
- 年間での報告義務や経費管理の事務負担が大きい
- 第三者後見人が選ばれると、家族の意向が通りにくいこともある
成年後見制度以外の選択肢
まとめ|制度の理解と早めの準備がカギ
成年後見制度は、認知症の親を守るための有効な手段ですが、
「始めるとやめられない」「自由が利かなくなる」という制約もあります。
だからこそ、
- 親がまだ元気なうちに制度を知ること
- 必要になりそうなときに冷静に検討すること
この2つがとても大切です。
家庭だけで抱えず、地域包括支援センターや弁護士・司法書士にも早めに相談してみましょう。
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