【知らなきゃ損】高額介護サービス費とは?月額負担の上限と申請方法をわかりやすく解説
実は多くの人が知らない「高額介護サービス費制度」
「親の介護費用、月に10万円以上かかってる…」「将来、こんなに払っていけるのかな?」
そんな不安を感じている方へ――
実は、一定額以上の介護費用を支払った場合に、自己負担が戻ってくる制度があるのをご存知ですか?
それが【高額介護サービス費】制度。
毎月の自己負担額には所得に応じた上限額があり、それを超えた分は後から払い戻されるのです。
ところが、制度の存在を知らずに払いすぎているご家族も少なくありません。
この記事では、介護施設で事務をしている筆者が、現場でよく聞かれる疑問に答えながら、
- 制度の仕組み
- 上限額の目安
- 申請の流れと注意点
- よくある誤解
- 家計への影響
などを、わかりやすく徹底解説していきます。
1. 高額介護サービス費制度とは? ── 知らないと損する「介護費の上限」
制度の概要
「高額介護サービス費制度」とは、介護保険サービスを利用した際の自己負担額が高額になったときに、超えた分が払い戻される制度です。
介護保険を使っても、自己負担は通常1〜3割発生します。
しかし長期間のサービス利用や、施設入所などで負担額が増えると、生活が圧迫されかねません。
そこで登場するのがこの制度。
対象となるサービス
- デイサービス、訪問介護などの在宅サービス
- 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの施設サービス
ただし、対象は「介護サービスの利用料」だけであり、食費・居住費・日常生活費は含まれません。
2. 月ごとの上限額はいくら? ── 世帯の所得によって異なる
高額介護サービス費の自己負担上限額は、本人や世帯の所得状況によって異なります。
以下の表は、2024年4月時点の目安です(市区町村によって多少異なる場合あり)。
所得区分 | 上限額(月額) | 該当する人の目安 |
---|---|---|
生活保護受給者等 | 15,000円 | 生活保護・老齢年金のみ等 |
一般(低所得者) | 24,600円 | 年金収入120万円前後の人など |
一般(中所得層) | 44,400円 | 多くの高齢世帯が該当 |
高所得世帯 | 93,000円~140,100円 | 住民税課税者など |
💡ポイント:世帯全体の負担額が対象です!
同じ世帯内で複数人が介護保険サービスを使っている場合、それらを合算して上限を超えていれば、対象となります。
3. 申請方法と流れ|実は自動じゃない?!
自動給付?それとも申請が必要?
原則として、申請しなくても自治体から「支給決定通知書」が送られてくる仕組みです(多くの場合3〜4か月後)。
しかし、
- 初回だけは申請が必要な自治体
- 世帯変更や転居後は再申請が必要なケースもあるため、油断せず確認が大切です。
実際の流れ
- サービス利用(1か月間の利用実績)
- 介護保険負担割合証・所得情報などで上限額を判定
- 超過分の額が自動計算される
- 自治体から通知が届く(支給決定通知書)
- 登録した口座に振り込まれる
4. よくある誤解と注意点
❌ 食費・居住費も対象になる?
→ なりません。 施設の中でかかる「介護部分のみ」が対象です。
❌ 自分で申請しなきゃいけない?
→ 初回などは要注意ですが、基本は自動給付です。
❌ すぐにもらえる?
→ 数か月後に支給されるため、あらかじめ家計をやりくりする工夫が必要です。
5. こんな人は要チェック!高額介護サービス費の対象になりやすい人
⬜︎ 月に複数のサービスを併用している(例:デイサービス+訪問介護)
⬜︎ 要介護度が高くサービス利用頻度が多い
⬜︎ 高齢の夫婦2人とも介護保険を利用している世帯
⬜︎ 施設に入所しており、月5万円以上の負担がある
→ 毎月、利用明細を確認しましょう! 上限を超えている可能性があります。
6. 節約にもつながる?家計の負担を軽くする考え方
高額介護サービス費で戻ってくる分は「安心材料」
例えば月に60,000円支払っていたとして、上限が44,400円なら
→ 約15,600円が払い戻されます(月によって異なる)。
これを数か月分まとめれば、実質数万円の節約につながることも。
「介護保険負担割合証」のチェックも忘れずに
毎年発行されるこの証書で、自分の負担割合(1割・2割・3割)を確認しましょう。
負担割合が変わると、制度の上限額にも影響します。
7. 【注意喚起】高額介護サービス費を装った詐欺に注意!
実際に増えている「給付金詐欺」
最近では、「高額介護サービス費の払い戻しがあります」と電話をかけ、口座情報やキャッシュカードをだまし取る詐欺が発生しています。
特に高齢の方や、そのご家族を狙った“給付金を装う振込詐欺”が後を絶ちません。
よくある詐欺の手口
自治体や介護保険担当者を名乗る電話が来る
「還付金の申請期限が迫っています」と急かされる
ATMの操作を指示される
銀行口座の暗証番号を聞かれる
自宅にカードを取りに来る(キャッシュカード詐欺)
➡これらはすべて詐欺です!
本物の通知はどう届く?
💡 役所からの通知は、封書で届きます。電話でATM操作を求めることは一切ありません。
💡 申請が必要な場合も、窓口や郵送で行います。
💡 わからないことがあれば、市区町村の介護保険課に直接確認を。
安心のためのチェックポイント
チェック内容 | 安全の目安 |
---|---|
電話だけで個人情報を求められた | ✕ 詐欺の可能性大 |
「今すぐATMへ」と言われた | ✕ 役所は絶対に言いません |
自治体の窓口名・電話番号を確認した | ◎ 本人確認が大切 |
不審な電話の内容をメモした | ◎ 警察相談時に役立ちます |
▶困ったときの相談先
【警察相談専用窓口】#9110
【消費者ホットライン】188(いやや!)
【自治体の介護保険課】(市区町村役場の代表番号に電話すればつながります)
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 過去にさかのぼって申請できますか?
A. 原則、過去2年以内であれば申請可能です(自治体により異なるので要確認)。
Q2. 世帯の中で1人しか使っていない場合も対象?
A. はい、対象です。ただし世帯全体の合算になる場合もあるため、同居家族の分も含めて確認を。
Q3. 払い戻し金は非課税ですか?
A. はい、非課税扱いです。
Q4. 自分(または親)は、どの区分に当てはまるの?
A. 世帯の収入や住民税の課税状況から、ある程度の目安がつきます。
生活保護受給者等(上限15,000円)
→ 生活保護や老齢年金のみの生活で、年収100万円未満が目安。
一般(低所得者|上限24,600円)
→ 年金収入が120万円前後の方。非課税世帯が該当します。
一般(中所得層|上限44,400円)
→ 年収160万~280万円程度で、住民税が課税されている高齢世帯が多く含まれます。
高所得世帯(上限93,000〜140,100円)
→ 年収300万円以上の方。現役並みの収入がある人や、給与+年金で高収入な世帯が該当。
📌 住民税の課税状況が判断基準になるため、「課税・非課税の区分」がカギになります。
Q5. 正確な区分を知りたいときはどうすればいい?
A. 役所の介護保険課に問い合わせるのが一番確実です。加えて、以下の書類にヒントが載っている場合があります。
「介護保険負担限度額認定証」
年金通知書や課税証明書など
A. いいえ、所得に応じて大きく異なります。
収入が少ない世帯を経済的に守るため、自己負担の上限額が調整されています。そのため、「同じサービスを使っても、人によって払う上限額は違う」という仕組みになっています。
Q6. 制度を装った詐欺が心配…。大丈夫?
A. はい、最近は「高額介護サービス費の還付金詐欺」も報告されていますので注意が必要です。
自治体を名乗って「ATMで手続きして」と電話してくる
銀行口座やキャッシュカードを聞き出そうとする
➡ これらはすべて詐欺です!
📩 本物の通知は「書面で届きます」。
不審な電話があったら、すぐにお住まいの自治体の介護保険課や警察相談窓口(#9110)へ連絡を。
まとめ:制度は味方、でも“安心しすぎない”も大事
高額介護サービス費制度は、家計の助けになる心強い制度です。
ですが、それを悪用しようとする詐欺も存在します。
「不審な電話はすぐに切る」「誰にも口座情報は伝えない」――これだけで大半の詐欺は防げます。
安心して介護と向き合うためにも、「正しい知識」と「少しの警戒心」を持って、制度を賢く活用していきましょう。
そして、介護費用の不安を軽くするためにも「知らなかった…」ではもったいないのが、この高額介護サービス費制度です。
今は大丈夫でも、将来のために知っておくだけで安心感がまったく違います。
親の介護が始まったばかりの方も、すでに介護中の方も、ぜひ一度、明細を見直してみてください。
このブログでは、介護の始め方や費用対策など、「知って安心・行動できる」情報を発信しています。
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知っているだけで安心!制度を味方にしよう
・所得に応じて上限が決まり、超えた分は払い戻される
・知らずに損しているケースも多いので、毎月の明細チェックが重要
💡 この情報は2025年5月時点の最新制度に基づいています。制度改正などにより変更される場合がありますので、最新の情報はお住まいの自治体や厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
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